2007年設立以来12年間、GCCのサイトへアクセスしてカウンセリングや講座へ参加して下さった方は、3000名近くに達し、ある方は苦痛の緩和や癒しを経験し、またある方はお仕事に役立つ学びや示唆を得てくださいました。

その中で大半の方が最愛の人を亡くされて、失意の中で立ち上がるためのサポートを探し求めた末に、GCCのサイトに巡り合われたと思います。GCCは安全で安心な場所を用意し、長年の経験と高い専門性を備えて、支援を必要とする方々のご要望にお応えすることを使命と考えています。

カウンセリングに来談された方に先ずお伝えすることがあります。「GCCまで到達されたあなたは、癒しへの道を大きく前進したことになります」と。なぜなら、大切な人を亡くした時、行く手には険しい山が立ちはだかりますが、GCCではカウンセラーが一緒に山を登り、重荷を共に担うので、一人よりは楽に効率的に進めるからです。

自身の人生にとってかけがえのない人を失うと、まるで安住の地を脅かされたようで、不安や恐怖に襲われても不思議はありません。日頃はしっかりしているつもりでも、重大喪失によって情けないほど弱い自分になってしまいます。私自身50代で夫をガンで亡くした時、「この世は終わってしまった！」と叫びたい気持ちでした。また「彼なしではとうてい生きていけない」と途方に暮れました。

当時私は死別やグリーフについて何の知識もなく、グリーフ・カウンセラーの存在すら知りませんでした。一人道なき道を暗中模索していました。今思えばもしあの頃、グリーフ・カウンセラーに出会えていたら、つらい気持ちを聞いてもらい、相談にのってもらい、もう少し楽に生きられたのではと痛感します。

散々考えた末、私は再生の道を求めて、カナダへ留学して本分野の勉強を始めました。そしてグリーフ・カウンセラーの資格を取得し、帰国後、GCCを開設しましたのです。愛する人を亡くした方が、孤軍奮戦することなく、カウンセリングや講座を活用して、苦痛や悩みからできるだけ早く解放され、立ち直って行かれるように支援するのが、GCCの使命と考えました。

また愛する人との死別がきっかけで、私自身がそうだったように、援助職を目指し、自分と同じような境遇の人を支えたいと思うようになる方は少なくありません。そうした志をもった方々がGCCの講座で学び、資格を取得し、今も各方面で活躍しています。

人生途上で経験する死別とそれに伴うグリーフの苦しみ。誰もが避けては通れません。しかし喪失とどう向き合い、その後どう適応して生きていくか、それには選択肢があります。人生の危機にあって立ち止まり、親身になってくれるカウンセラーとその後の生き方を模索する。これは時間の無駄ではなく、より早く苦痛を解放し冷静さを取り戻し、より広い視野で、自分らしい生き方を見出すための得策と言えます。

近年、災害、事故、自死、犯罪など、トラウマ的な死別が増加の傾向ですが、こうした喪失は一人で背負うには荷が重すぎます。専門のカウンセリングの介入が望まれます。人生は思いのほか短く時間は止まってくれません。たいへんな喪失を経験した方が、できるだけ早く立ち直り、自身の生活と人生にフィット感を持って生きていけるように、質の高い支援のサービスを提供し続けたいと願っています。

グリーフ・カウンセリング・センター　代表　 鈴木剛子